Provided by: lxc_6.0.4-4ubuntu1_amd64 bug

NAME

       pam_cgfs - 非特権の LXC コンテナのための cgroup を管理する

SYNOPSIS

       pam_cgfs.so {-c kernel_controller,name=named_controller}

説明

       LXC は LXC 1.0 以降、完全な非特権コンテナをサポートしてきました。完全な非特権コンテナは安全なコンテナであ
       り、一般ユーザ(非 root)で実行できます。これはホスト上の特権のない UID と GID の範囲を、それとは異なるコ
       ンテナ内の  UID と GID の範囲にマッピングするユーザ名前空間を使うことで実現しています。これは、コンテナ内
       の UID 0 (root) が、コンテナの外では 1000000 のような特権のないユーザ ID にマッピングされ、自身の所有する
       リソースに対してのみ権限を有することを意味します。

       完全な非特権コンテナの cgroup  管理は、このようなコンテナが使用するリソースを制限するということです。例え
       ば、コンテナの CPU 使用量を制限したり、コンテナ内で起動するプロセスの数を制限したり、コンテナが消費できる
       メモリを制限したりということです。 完全な非特権コンテナは一般ユーザによって実行され、コンテナ間のリソース
       消費を制限、管理する必要があるということは明らかです。 しかし、非特権での cgroup 管理はほとんどの init シ
       ステムでは簡単ではありません。 そこで、pam_cgfs.so が誕生したのです。

       pam_cgfs.so  モジュールは、純粋な cgroupfs v1 (/sys/fs/cgroup/$controller) ツリーと、コントローラのいくつ
       かが cgroupfs v1 ツリー (/sys/fs/cgroup/$controller) で、それ以外が cgroupfs v2  (/sys/fs/cgroup/unified)
       ツリーと言ったようなミックスマウントを扱えます。 書き込み可能な cgroup がすべてのコントローラ用に作られま
       す。また、引数で指定すれば、指定したコントローラのみ書き込み可能な cgroup が作られます。 純粋な cgroup v2
       のみのマウントは pam_cgfs.so モジュールでは対象外です。

       作成された cgroup user/$user/n は cgroup カーネルコントローラ階層配下の n 番目のセッション用です。

       init  システムが  systemd であるシステムは、cgroupfs v1 と v2 の両方が特別に扱われます。cgroupfs v1 と v2
       の両方に対して、このモジュールは systemd が既に、user.slice/user-$uid/session-n.scope を cgroup  内に作成
       しているかどうか、$uid  ==  login  uid  であるかどうかをチェックします。もし  $uid  == login uid であるな
       ら、session-n.scope をユーザに chown します。そうでなければ、前述のような cgroup (user/$user/n)  が作成さ
       れ、ログイン  uid で chown されます。 もし、init システムがすでにセッション特有のグループ内にログインユー
       ザーの cgroup を配置しているなら、pam_cgfs.so モジュールはそれを検出して再利用する機能を持っています。

       基本的には pam_cgfs.so モジュールは、ログイン時に非特権(非  root)ユーザが書き込みできる  cgroup  を配置
       し、ログアウト時にもその cgroup ツリーをクリーンアッ�\x83\x97する処理を行います。したがって、必要に応じて
       提供されているリソースをコンテナに自由に委譲できます。

オプション

       -c controller-list
              カンマ(",")で区切られたカーネルコントローラと名前付きコントローラ(訳注:  mount オプションとして
              name オプションで名前を指定してマウントした cgroup v1 ツリー)のリストを設定した文字列の引数を取り
              ます。名前付きコントローラは "name=$namedcontroller" の形で指定する必要があります。"all"  を指定し
              て、すべての cgroup リソースコントローラーのツリーを有効にできます。"all" と他のコントローラを同時
              に指定すると、明確に PAM_SESSION_ERR が返ります。

MODULE TYPES PROVIDED

       モジュールタイプとして session のみが提供されます(そして必要です)。

返り値

       PAM_SUCCESS
              ユーザ用の書き込み可能な cgroup が作成されました。

       PAM_SESSION_ERR
              ユーザ用の書き込み可能な cgroup の作成が失敗しました。

ファイル

       /etc/pam.d/common-session{,-noninteractive}
              これらのファイルの最後にデフォルト設定が追加されます。

       session optional        pam_cgfs.so -c freezer,memory,named=systemd
       # デフォルト設定
       # ユーザが書き込み可能な cgroup が freezer, memory, 名前付き cgroup "systemd" ツリー以下に作成されます。
       # freezer と memory に対しては /sys/fs/cgroup/$controller/user/$user/n
       # systemd に対しては /sys/fs/cgroup/systemd/user.slice/user-$uid/session-n.scope

       session optional        pam_cgfs.so -c all
       # すべての cgroup コントローラ以下にユーザが書き込み可能な cgroup が作成されます

       session optional        pam_cgfs.so -c all,memory,freezer
       # 不正な引数なので PAM_SESSION_ERR が返ります

SEE ALSO

       lxc-cgroup(1), cgroups(7), user_namespaces(7), namespaces(7), pam(8)

                                                   2025-06-09                                        pam_cgfs(8)