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名前

       modprobe - Linux カーネルに対してモジュールの着脱を行う

書式


       modprobe [-v] [-V] [-C config-file] [-n] [-i] [-q] [-b] [modulename] [module parameters...]

       modprobe [-r] [-v] [-n] [-i] [modulename...]

       modprobe [-c]

       modprobe [--dump-modversions] [filename]

説明

       modprobe は、Linux カーネルに対して頭のよいやり方でモジュールの追加や取り外しを行います。 なお、ユーザの
       便宜を考慮して、モジュール名に含まれる _ と - とを区別しません (アンダースコアへの変換が自動的に行われま
       す)。 modprobe は、モジュールディレクトリ /lib/modules/`uname -r` を見て、すべてのモジュールやそのほかの
       ファイルをそれ以下に捜します。 ただし、作成が任意の設定ファイルについては、/etc/modprobe.d ディレクトリを
       調べます (modprobe.d(5) 参照)。 modprobe はまた、カーネルコマンドラインで指定された、 モジュールオプショ
       ンやブラックリストも使用します。前者の書式は <module>.<option> であり、後者の書式は
       modprobe.blacklist=<module> です。

       なお、2.4 系列の Linux カーネル (このツールはサポートしていません) の場合とは違って、当バージョンの
       modprobe は、モジュールそのものに対しては何の操作も行いません。 シンボルの解決やパラメータの解釈といった
       作業は、 カーネルの内部で行われます。そこで、モジュールの処理に失敗すると、 カーネルメッセージが出ること
       があります。dmesg(8) を参照してください。

       modprobe は、modules.dep.bin ファイルが最新であることを当てにしています。このファイルは、modprobe と一緒
       に配布され、現在の modprobe に対応している depmod(8) ユーティリティによって生成されます (depmod(8) 参
       照)。 modules.dep.bin は、各モジュールが、ほかのどんなモジュールを必要としているかを (そういったものがあ
       れば) リストしており、modprobe は、このファイルを使用して、 そうした依存するモジュールを自動的に追加した
       り、取り外したりします。

       modulename の後ろに引数を付けると、そうした引数はカーネルに渡されます (設定ファイルで指定しているモジュー
       ルオプション [訳注: モジュールパラメータとも言います] があれば、そこに追加されるわけです)。

オプション

       -a, --all
           コマンドラインで指定されたモジュール名をすべて組み込みます。

       -b, --use-blacklist
           このオプションを指定すると、modprobe は、設定ファイルに blacklist コマンドがあれば、それもモジュール
           名に対して適用します。 このオプションは通常、udev(7) によって使用されます。

       -C, --config
           このオプションは、設定ディレクトリをデフォルトの /etc/modprobe.d から変更します。

           このオプションは、環境変数 MODPROBE_OPTIONS に入れられて、installremove コマンド経由で、ほかの
           modprobe コマンドにも渡されます。

       -c, --showconfig
           設定ディレクトリを読み込み、有効な設定を標準出力に書き出して、終了します。

       --dump-modversions
           あるモジュールが要求している、そのモジュールのバージョン管理情報のリストを表示します。 このオプション
           は通常、モジュールのバージョン管理の依存情報を利用して Linux のカーネルモジュールをパッケージにまとめ
           るために、 ディストリビューションによって使用されます。

       -d, --dirname
           モジュール群にとってのルートディレクトリ。デフォルトでは / です。

       --first-time
           通常、modprobe は、すでに存在するモジュールの組み込みや、 存在しないモジュールの取り外しを命じられて
           も、処理に成功したものとして (何もせずに) 終了します。これは単純なスクリプトではまったく問題がありま
           せん。 でも、より複雑なスクリプトでは、modprobe が実際に何らかの処理を行ったかどうかを知りたいことが
           よくあります。 このオプションを使うと、modprobe は、実際には何もしなかった場合、 実行に失敗したことに
           なります。

       --force-vermagic
           どのモジュールの中にも、 カーネルやコンパイラのバージョンといった重要な情報を含む短い文字列が存在しま
           す。 モジュールのロードに失敗して、 カーネルが「バージョンマジックが一致しない」と苦情を言って来る場
           合、 このオプションを使えば、そのバージョンマジックを除去することができます。 言うまでもありません
           が、こうしたチェックは、 ユーザを守るためにあるのですから、自分のやっていることがよくわかっていないか
           ぎり、 このオプションを使うのは危険です。

           このオプションは、組み込まれるどんなモジュールにも適用されます。 すなわち、コマンドラインで指定された
           モジュール (やエイリアス) だけでなく、 それが依存するモジュールがあれば、それにも適用されます。

       --force-modversion
           CONFIG_MODVERSIONS を有効にして、モジュールをコンパイルすると、 そのモジュールが利用する (あるい
           は、提供する) すべてのインターフェースのバージョンを記録したセクションが、モジュール内に作られます。
           モジュールのロードに失敗して、カーネルが「モジュールのインターフェースに、 バージョンがカーネル側と一
           致しないものがある」と苦情を言って来る場合、 "--force-modversion" を使えば、そうしたバージョン情報を
           そっくり除去することができます。 言うまでもありませんが、こうしたチェックは、ユーザを守るためにあるの
           ですから、 自分のやっていることがよくわかっていないかぎり、このオプションを使うのは危険です。

           このオプションは、組み込まれるどんなモジュールにも適用されます。 すなわち、コマンドラインで指定された
           モジュール (やエイリアス) だけでなく、 それが依存するモジュールがあれば、それにも適用されます。

       -f, --force
           バージョン管理に関する情報がモジュールにあると、ロードが中断しかねない場合に、 モジュールからそうした
           情報をすべて取り除こうとします。 これは --force-vermagic--force-modversion の両方を使用するのと同
           じことです。 言うまでもありませんが、こうしたチェックはユーザを守るためにあるのですから、 自分のやっ
           ていることがよくわかっていないかぎり、このオプションを使うのは危険です。

           このオプションは、組み込まれるどんなモジュールにも適用されます。 すなわち、コマンドラインで指定された
           モジュール (やエイリアス) だけでなく、 それが依存するモジュールがあれば、それにも適用されます

       -i, --ignore-install, --ignore-remove
           このオプションを使うと、modprobe は、コマンドラインで指定されたモジュールに対して設定ファイル中に
           install や remove コマンドが存在しても、それを無視します (依存するモジュールについては、このオプショ
           ンを指定した場合でも、 設定ファイル中でそのモジュールに対して設定されているコマンドの対象になりま
           す)。 現状では、このオプションを使用した場合、installremove の両方のコマンドが無視されることにな
           ります。 --ignore-install--ignore-remove の片方のみを使って (そして、両方を使うことなく) より具体
           的に指定しても、動作は変わりません。 modprobe.d(5) を参照してください。

       -n, --dry-run, --show
           このオプションを指定すると、実際にモジュールを組み込んだり、取り外したり (それに、install や remove
           コマンドを実行したり) する以外のあらゆることを行います。 -v オプションと組み合わせると、問題が起きた
           ときのデバッグに便利です。 歴史的な理由から  --dry-run--show は事実上同じ意味なので、 どちらを
           使っても構いません。

       -q, --quiet
           このフラグを使用すると、modprobe は、モジュールを取り外したり、 組み込んだりしようとして、それが見つ
           からなかった場合に (しかも、それがエイリアスの名前でも、installremove コマンドの対象でもなかった
           場合に)、エラーメッセージを出さなくなります。それでも、 ゼロ以外のステータスで終了することに変わりは
           ありません。なお、カーネルは、 存在するかどうかが不確かなモジュールの探索を request_module 関数を使っ
           て便宜主義的に行うために、このフラグを使用します。

       -R, --resolve-alias
           あるエイリアスに対応するモジュール名をすべて表示します。 モジュールのエイリアスに問題がある場合、デ
           バッグの役に立つかもしれません。

       -r, --remove
           このオプションを指定すると、modprobe は、モジュールを組み込む代わりに、 それを取り外します。そのモ
           ジュールが依存しているモジュールも使用されていない場合は、 それもまた取り外そうとします。組み込みを行
           う場合とは違って、 複数のモジュールをコマンドラインで指定することができます (モジュールを取り外す場合
           には、モジュールパラメータを指定しても意味がありません)。

           通常は、モジュールを取り外す理由などありませんが、 モジュールにバグのある場合には、それが必要になるこ
           ともあります。 もっとも、ご使用のディストリビューションのカーネルは、 モジュール取り外しのサポートを
           有効にしてビルドされていないかもしれません。

       -S, --set-version
           カーネルのバージョンを設定します。すなわち、カーネルのバージョン (それによって、モジュールを探しに行
           く場所が決まります) を判断するのに、uname(2) を使用しません。

       --show-depends
           あるモジュール (または、エイリアス) の依存関係を、そのモジュール自体も含めて、 一覧表示します。モ
           ジュールファイル名の集合 (空集合のこともあります) が、1 行に 1 ファイルずつ、各行の先頭に "insmod" を
           付けて、出力されます。 このオプションの代表的な使い道は、ディストリビューションが initrd/initramfs イ
           メージを作成するとき、どのモジュールを収録するかを決めるのに使うことです。 Install コマンドが適用され
           ている場合は、"install" という文字列を行頭に置くことで、それを示しますが、そうした install コマンドが
           実行されるわけではありません。なお、modinfo(8) を使えば、 モジュールの依存関係をそのモジュール自体か
           ら取り出すことができますが、 modinfo は、設定ファイルの alias や install といったコマンドについては、
           何も知らないことに注意してください。

       -s, --syslog
           このオプションを指定すると、エラーメッセージがある場合に、 それを標準エラーに送るのではなく、syslog
           の仕組みを通して出力します (LOG_NOTICE レベルの LOG_DAEMON として扱われます)。 このオプションは、標準
           エラーが使えない場合にも、自動的に有効になります。

           このオプションは、環境変数 MODPROBE_OPTIONS に入れられて、installremove コマンド経由で、ほかの
           modprobe コマンドにも渡されます。

       -V, --version
           プログラムのバージョンを表示して終了します。

       -v, --verbose
           プログラムが何をやっているかについてメッセージを表示します。通常 modprobe がメッセージを出すのは、何
           かがうまく行かなかったときだけです。

           このオプションは、環境変数 MODPROBE_OPTIONS に入れられて、installremove コマンド経由で、ほかの
           modprobe コマンドにも渡されます。

環境変数

       環境変数 MODPROBE_OPTIONS は、modprobe コマンドに引数を渡すためにユーザが使用することもできます。

著作権

       このマニュアルページの最初の版は、"Copyright 2002, Rusty Russell, IBM Corporation" でした。現在では、Jon
       Masters ほか数名によって保守されています。

関連項目

       modprobe.d(5), insmod(8), rmmod(8), lsmod(8), modinfo(8) depmod(8)

著者

       Jon Masters <jcm@jonmasters.org>
           開発者

       Robby Workman <rworkman@slackware.com>
           開発者

       Lucas De Marchi <lucas.de.marchi@gmail.com>
           開発者

kmod                                               2021/01/29                                        MODPROBE(8)