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名前

       xinetd.conf - 拡張されたインターネットサービスデーモンの設定ファイル

説明

       xinetd.confxinetd によって提供されるサービスを決定する設定ファイルである。 行の最初の空白ではない文字
       が '#' ならばコメント行とみなされる。 空行は無視される。

       ファイルは以下の形式のエントリからなる:

              service <service_name>
              {
                     <属性> <assign_op> <値> <値> ...
                     ...
              }

       代入演算子  assign_op'=', '+=', '-=' のいずれかである。 殆んどの属性は単純な代入演算子である '=' のみ
       をサポートする。 値が値の組合せであるような属性は、すべての代入演算子をサポートする。  そのような属性につ
       いては、 '+=' は組合せに値を追加することを、 '-=' は組合せから値を削除することを意味する。 どの属性がどの
       演算子をサポートするかは、 すべての属性について述べた後に記述する。

       各エントリは service_name で識別されるサービスについて定義する。

       id               この属性はサービスを識別するのに用いられる。  サービスの中には違うプロトコルを使えるもの
                        があり、  その場合は設定ファイルの別のエントリに記述されるので、  そうしたときに有用であ
                        る。 デフォルトではサービス id は service_name と同じである。

       type             以下の値の任意の組合せである:

                        RPC         RPC を使ったサービスである

                        INTERNAL    xinetd によって提供されるサービス

                        TCPMUX/TCPMUXPLUS
                                    well-known(良く知られた)TCPMUX ポートを使う、RFC 1078 プロトコルによって開始
                                    されるサービス。 後述する TCPMUX サービスについて書かれた節を参照のこと。

                        UNLISTED    標準的なシステムファイル  (RPC サービスなら /etc/rpc, RPC でないサービスなら
                                    /etc/services) にはないサービス

       flags            以下のフラグの任意の組合せである:

                        INTERCEPT   パケットまたはすでに受けつけた接続を、  それが受け付けてよい場所から来ている
                                    のかを確かめるために横取りする (内部サービスまたはマルチスレッドサービスは横
                                    取りできない)。

                        NORETRY     フォークに失敗しても再試行しない。

                        IDONLY      リモート側が、リモートのユーザを識別しているときのみ接続を受け付ける (すなわ
                                    ち、リモートホストは  ident サーバを動かさなければならない)。 ログオプション
                                    USERID が使われてない場合には、このフラグは効果がない。

                        NAMEINARGS  "server_args" の最初の引き数を、サーバが実行される際の argv[0] にする。 これ
                                    により、普通の  inetd  のように  "server"  を   tcpd   にし、   サーバー名を
                                    "server_args" に入れることで、tcpd を使うことができる。

                        NODELAY     サービスが  TCP のサービスで NODELAY フラグが立てられている場合、 ソケットに
                                    TCP_NODELAY フラグを立てる。 サービスが  TCP  のサービスでなければ、このオプ
                                    ションは効果がない。

                        KEEPALIVE   サービスが TCP のサービスで、KEEPALIVE フラグが立てられた場合は、 ソケットに
                                    SO_KEEPALIVE  フラグが立てられる。 サービスが TCP のサービスでなければ、この
                                    オプションは効果がない。

                        NOLIBWRAP   サービスへのアクセスを判断するのに、tcpwrap       の内部呼び出しを行わない。
                                    xinetd  のように長い時間動くプロセスには libwrap 機能が使えないので、 これは
                                    必要になる;  その様な場合には  tcpd   プログラムを明示的に起動することができ
                                    る(NAMEINARGS フラグの項を見よ)。

                        SENSOR      サービスの代わりに、指定されたポートへのアクセスを検知するセンサーを使う。
                                    注意:  これはステルススキャンを検知しない。 必要ないということが分かっている
                                    サービスにのみ、このフラグを用いるべきである。  このサービスのポートへアクセ
                                    スがあると、IP  アドレスが no_access リストへ追加される。 以降の同じ IP アド
                                    レスからのアクセスは、deny_time で設定した期限が切れるまで 拒否される。 この
                                    リストへ費やす時間の長さは、deny_time 属性で設定が可能である。  また、SENSOR
                                    フラグが指定された場合、同じ行に何が書かれていようと、  サーバに INTERNAL 属
                                    性が指定されたと    xinetd    はみなす。    あと一つ覚えておくべき重要なこと
                                    は、socket_type を stream に設定した場合は、 wait 属性は no に設定されなけれ
                                    ばならないということである。

                        IPv4        サービスを IPv4 サービス(AF_INET)にする。

                        IPv6        IPv6 がシステムで有効であれば、サービスを IPv6 サービス(AF_INET6)にする。

       disable          "yes"  または  "no"  の真偽値をとる。 これによりサービスが使用不能になり、起動されなくな
                        る。 DISABLE フラグに関する記述を見よ。

       socket_type      この属性に指定可能な値は以下:

                        stream      ストリーム型サービス

                        dgram       データグラム型サービス

                        raw         IP への直接制御が必要なサービス

                        seqpacket   信頼できる連続的なデータグラム交換が必要なサービス

       protocol         サービスに使われるプロトコルを指定する。  プロトコルは  /etc/protocols  になければならな
                        い。 この属性が指定されなかった場合、サービスのデフォルトのプロトコルが使われる。

       wait             この属性はサービスがシングルスレッドか、マルチスレッドかを決定する。 値が yes ならシング
                        ルスレッドである;  すなわち xinetd は、サーバーを起動したらそのサーバが死ぬまでは、 その
                        サービスへの要求に対する処理を停止する。  値が  no  ならサービスはマルチスレッドであり、
                        xinetd はサービスへの新たな要求を処理し続ける。

       user             サーバプロセスの  uid を指定する。 ユーザ名は /etc/passwd になければならない。 xinetd の
                        実効ユーザIDがスーパーユーザーではない場合には、 この属性は効果がない。

       group            サーバプロセスの gid を指定する。 グループ名は /etc/group になければならない。 xinetd の
                        実効ユーザIDがスーパーユーザーではない場合には、 この属性は効果がない。

       instances        サーバが同時にいくつサービスできるかを指定する(デフォルトは無制限)。  この属性の値は数値
                        か、もしくは無制限を意味する UNLIMITED のどちらかである。

       nice             サーバーの優先度を指定する。   値は(負の)数値である;  詳しくは  nice(3)(訳注:Linux  では
                        nice(2))を見よ。

       server           そのサービスのために実行するプログラムを指定する

       server_args      サーバに渡される引き数を指定する。 inetd とは違い、サーバ名は server_args には含めないonly_from        そのサービスを可能にするリモートホストを指定する。 値は IP  アドレスのリストで、以下の方
                        法の任意の組合せである:

                        a)   %d.%d.%d.%d形式の数値アドレス。 右端の部分が 0 であればワイルドカードとして扱われる
                             (例えば、128.138.12.0 は 128.128.12 サブネットのすべてのホストに合致する)。 0.0.0.0
                             はすべてのインターネットアドレスに合致する。  IPv6 ホストは abcd:ef01::2345:6789 の
                             ような形式で指定する。 IPv4 の場合のワイルドカードに関するルールは、IPv6 アドレスに
                             は適用されない

                        b)   %d.%d.%d.{%d,%d,...}形式の組合せアドレス。 4 つすべての部分が必要なわけではない (す
                             なわち%d.%d.{%d,%d,...%d}形式も可である)。 しかし、組合せの部分はアドレスの最後でな
                             ければならない。 この形式は IPv6 ホストでは使えない。

                        c)   (/etc/networks から得られる)ネットワーク名。 この形式は IPv6 ホストでは使えない。

                        d)   ホスト名。 xinetd  への接続がなされると、逆引きが行われ、  得られた正規名(canonical
                             name)と指定されたホスト名が比較される。  .domain.com 形式のドメイン名を指定すること
                             もできる。 クライアント IP の逆引き結果が .domain.com 内部なら、 そのクライアントは
                             合致したことになる。

                        e)   1.2.3.4/32 形式の IPアドレス/ネットマスク 範囲指定。

                        値の指定をせずにこの属性を指定すると、 いかなるユーザにもサービス使用不可となる。

       no_access        そのサービスが使用できないリモートホストを指定する。 値の指定方法は only_from と同じであ
                        る。 これら二つの属性により xinetd は場所に基づいたアクセス制御を行う。 サービスに対しこ
                        の二つのどちらも指定されない場合には、 そのサービスは誰でも使用可になる。 サービスに対し
                        この二つが共に指定された場合には、  リモートホストのアドレスがよりよく(より正確に)合致し
                        た方に基づき、       そのサービスがそのホストで使用できるかどうかが決定される      (例え
                        ば、only_from リストに 128.138.209.0 があり、 no_access リストに 128.138.209.10 があった
                        場合には、 アドレスが 128.138.209.10 のホストはそのサービスへはアクセスできない)。

       access_times     サービスが使用できる時間間隔を指定する。 間隔の形式は 時:分-時:分 である (間隔の境界での
                        接続は受け付けられるだろう)。 時間は 0 から 23 の範囲で、分は 0 から 59 である。

       log_type         サービスのログ出力がどこに送られるかを指定する。 二つの形式がある:

                        SYSLOG  syslog_facility [syslog_level]
                               ログ出力は指定された機能分類(facility)で syslog に送られる。 指定可能な機能分類は
                               daemon, auth, authpriv, user, mail, lpr, news, uucp, ftp, local0-7 である。  指定
                               可能なレベル名は  emerg,  alert, crit, err, warning, notice, info, debug である。
                               レベル指定がない場合には、メッセージは info レベルで記録される。

                        FILE  file [soft_limit [hard_limit]]
                               ログ出力は file に追加され、そのファイルが無ければ作成される。 ログファイルのサイ
                               ズに関しては、二つの制限をオプションで指定できる。           一つ目の制限は弱い制
                               限(soft_limit)である; xinetd はこの制限を最初に越えたときにログ出力を行う (xinetd
                               が syslog に出力する場合は、メッセージは優先度レベル alert で送られる)。 二つ目の
                               制限は強い制限(hard_limit)である; xinetd は影響があるサービス (ログファイルとして
                               共通のログファイルを使っている場合には、 二つ以上のサービスが影響受ける) のログ出
                               力を中止し、その様にしたというメッセージをログ出力する (xinetd が syslog に出力す
                               る場合は、メッセージは優先度レベル alert で送られる)。 強い制限が指定されていない
                               場合は、デフォルトは弱い制限を  1%  増やした値である。 ただし、増やすサイズはパラ
                               メータ LOG_EXTRA_MIN と LOG_EXTRA_MAX (デフォルトは 5K と 20K  で、  これらの定数
                               は(コンパイル時に) config.h で定義される) の間になければならない。

       log_on_success   サーバ起動時と終了時にどの情報をログ出力するかを指定する (サービス id はログエントリに必
                        ず含まれる)。 以下の値の任意の組合せが指定可能である:

                        PID         サーバのプロセスIDを出力する  (サービスが xinetd によって実装され、 他のプロ
                                    セスへとフォークされない場合には、プロセス ID として 0 が出力される)

                        HOST        リモートホストのアドレスを出力する

                        USERID      RFC 1413 で示される ident(identification) プロトコルを使って、  リモートユー
                                    ザのユーザ  ID を出力する。 このオプションはマルチスレッドなストリームサービ
                                    スにのみ使用できる。

                        EXIT        サーバが終了したことを、終了ステータスまたは終了シグナルと共に出力する  (PID
                                    オプションが指定されている場合にはプロセスIDも出力される)

                        DURATION    サービスセッションの時間を出力する

       log_on_failure   サーバが起動できなかった場合 (リソースが足りなかった場合と、アクセス制御による制限による
                        場合のどちらでも)  にどの情報をログ出力するかを指定する。 サービスのidは失敗した理由と共
                        に常にログエントリに含まれる。 以下の値の任意の組合せが指定可能である:

                        HOST        リモートホストのアドレスを出力する

                        USERID      RFC 1413 で示されるident プロトコルを使って、 リモートユーザのユーザ ID を出
                                    力する。    このオプションはマルチスレッドなストリームサービスにのみ使用でき
                                    る。

                        ATTEMPT     失敗があったことを出力する   (このオプションは他のすべてのオプションに含まれ
                                    る)。

       rpc_version      RPC サービスの RPC バージョンを指定する。 バージョンには一つの数か、number-number 形式の
                        範囲を指定できる。

       rpc_number       リストにない(UNLISTED) RPCサービスの番号を指定する (サービスが標準的なシステムファイルに
                        リストされているなら、 この属性は無視される)。

       env              この属性の値は 'name=value' 形式の文字列のリストである。  これらの文字列はサーバが起動す
                        る前に、環境に加えられる  (すなわち、 サーバの環境は xinetd の環境に指定された文字列を加
                        えたものである)。

       passenv          この属性の値は xinetd の環境変数のリストで、  その環境がサーバへと渡される。  空のリスト
                        は、 env 属性を使って明示的に指定されたものを除いて、 どの変数もサーバへと渡されないこと
                        を意味する (この属性と env の組合せによって、 サーバにどの環境が渡されるかを正確に指定で
                        きるということである)

       port             サービスのポートを指定する。  /etc/services ファイルにリストされているサービスに対してこ
                        の属性が指定された場合、 その値とファイルにあるポート番号とは等しくなければならない。

       redirect         TCP  サービスの他ホストへの転送を指定する。  このポートへの接続を  xinetd   が受け取った
                        ら、プロセスを起動し、 指定されたホストのポート番号への接続を確立し、 二つのホストの間で
                        すべてのデータを転送する。  このオプションは、内部マシンが外界から見えない場合に有用であ
                        る。 書式は redirect = (IPアドレス) (ポート) である。 IP  アドレスの代わりにホスト名を使
                        うこともできる。  ホスト名検索は xinetd が起動した時の一回のみ行われ、 最初に返された IP
                        アドレスが   xinetd   が再起動されるまで使われる。    このオプションが指定された場合には
                        "server"  属性は必要ではない。  "server"  属性が指定されても、こちらの属性の方が優先され
                        る。

       bind             マシンの特定のインタフェースにサービスを割り当てることを指定する。  これは、安全なインタ
                        フェースであるローカルインタフェースで待ち(listen)、  外部インタフェースではそうしないよ
                        うな telnet サーバが 作成できることを意味する。 また、あるインタフェースのあるポートで何
                        かしている場合に、 同時に違うインタフェースの同じポートで全く違ったことができる。 書式は
                        bind = (インタフェースの IP アドレス) である。

       interface        bind に同じ。

       banner           サービスへの接続が確立された時に、  リモートホストで表示されるファイルの名前を指定する。
                        このバナーはアクセス制御に関係なく表示される。  接続がなされた場合には *いつでも* これが
                        表示されるはずである。

       banner_success   サービスへの接続が許可された時に、  リモートホストで表示されるファイルの名前を指定する。
                        このバナーはサービスへのアクセスが許可されるとすぐに表示される。

       banner_fail      サービスへの接続が拒否された時に、  リモートホストで表示されるファイルの名前を指定する。
                        このバナーはアクセスが拒否されるとすぐに表示される。  ユーザに対し、そのユーザが何か悪い
                        ことをしたということ、 そしてこれ以上何もするなということを通知するのに有用である。

       per_source       発信元  IP アドレスごとの、そのサービスに対する最大サービス数を指定する。 引き数には一つ
                        の整数か "UNLIMITED"(無制限) をとる。 このオプションは、デフォルトセクション(後述)で指定
                        することも可能である。

       cps              入ってくる接続の割合の制限。 二つの引き数を取る。 最初の引き数は 1  秒あたりに処理する接
                        続数である。 入ってくる接続の割合がこの値より大きくなると、 サービスは一時的に使用不可に
                        なる。 二つ目の引き数は、使用不可になってから再び使用可能になるまでに待つ秒数である。 こ
                        の設定のデフォルトは、50 の入ってくる接続と、待つのは 10 秒である。

       max_load         サービスが接続の受け付けを停止するようになる負荷(load)値を、 浮動小数点数で指定する。 例
                        えば、2  や 2.5 である。 負荷がこの値になると、サービスは接続の受け付けを停止する。 これ
                        は 1 分間の平均負荷値(load average)である。 これは OS に依存した機能で、Linux と Solaris
                        でだけサポートされる。

       groups           "yes" または "no" を引き数にとる。 groups 属性が "yes" の場合、サーバの実効 UID でアクセ
                        スできる  グループにアクセスできるようにサーバが実行される。  groups  属性が  "no"  の場
                        合、サーバは他のグループなしで実行される。  多くの BSD システムでは、この属性は "yes" に
                        されなければならない。    このオプションは、デフォルトセクションで指定することも可能であ
                        る。

       umask            サービスが継承する  umask を指定する。 8進数で指定する。 全てのサービスの umask を設定す
                        るために、"defaults" セクションで 指定することも可能である。 xinetd  は自分自身の  umask
                        を、継承した  umask と 022 との OR に設定する。 umask オプションが指定されなければ、この
                        xinetd の umask 値が全ての 子プロセスに継承される。

       enabled          有効にするサービス名のリストを指定する。  この属性の引数としてリストされたサービスだけが
                        有効になる。  すなわち、残りのサービスは無効になる。  "disable"  属性と "DISABLE" フラグ
                        は、この属性でリストされたかに関係なく  サービスが有効になるのを防ぐことができることに注
                        目せよ。

       include          "include  /etc/xinetd/service" という形式で、ファイル名を指定する。 そのファイルは新たな
                        設定ファイルとして解析(parse)される。 xinetd.conf の include  が指定された場所にファイル
                        を貼り付けるのとは、  同じではない。 取り込まれたファイルは xinetd.conf と同じ形式でなけ
                        ればならない。 サービス定義の内部でこの属性を指定してはいけない。 サービス定義の外側で指
                        定されなければならない。

       includedir       "includedir /etc/xinetd.d" という形式でディレクトリ名を指定する。 そのディレクトリのすべ
                        てのファイル(ただし名前にドット('.')を含むファイルと、 名前がチルダ('~')で終わるファイル
                        以外) は xinetd 設定ファイルとして解析される。 ファイルは C ロケールでのアルファベット順
                        で解析される。 includedir はサービス定義の内部で指定されてはならない。

       rlimit_as        サービスの、アドレス空間資源の制限を設定する。  パラメータが一つ必要で、制限するバイト数
                        (キロバイト・メガバイトを指定するのに K, M が使える)を表す正の整数か、 "UNLIMITED" (無制
                        限)を指定する。  Linux  の  libc の malloc の実装方法の関係で、 rlimit_data, rlimit_rss,
                        rlimit_stack よりもこの制限を設定する方が有用である。 この資源制限は Linux  システムでの
                        み実装されている。

       rlimit_cpu       サービスが使える最大 CPU 時間(秒単位)を設定する。 パラメータが一つ必要で、CPU 時間を制限
                        する正の整数か、 "UNLIMITED" (無制限)を指定する。

       rlimit_data      サービスの最大データサイズの制限を設定する。  パラメータが一つ必要で、バイト数を表す正の
                        整数か、 "UNLIMITED" (無制限)を指定する。

       rlimit_rss       サービスの最大常駐サイズの制限を設定する。 この値を小さくすれば、メモリが少ない時に プロ
                        セスがディスクへとスワップアウトされる候補になりやすくなる。  パラメータが一つ必要で、バ
                        イト数を表す正の整数か、 "UNLIMITED" (無制限)を指定する。

       rlimit_stack     サービスの最大スタックサイズを設定する。  パラメータが一つ必要で、バイト数を表す正の整数
                        か、 "UNLIMITED" (無制限)を指定する。

       deny_time        SENSOR を作動させた何者かの IP  アドレスからの、全てのサービスへのアクセスを  拒否する期
                        間。単位は分。  指定可能なオプションは  FOREVER,  NEVER  そして数値である。  FOREVER  で
                        は、xinetd が再起動されるまでその IP アドレスは消去されない。 NEVER は迷惑な IP アドレス
                        をログに取る効果だけである。 典型的な値は 60 分である。 これなら、正当な目的でその IP ア
                        ドレスが再利用されるのを許可する一方で、 殆んどの DoS 攻撃を防ぐことができる。  このオプ
                        ションは SENSOR フラグとの組合わせで用いること。

       それぞれのサービスで以上の属性をすべて指定する必要はない。 必要な属性は以下の通り:

              socket_type
              user              (非内部サービスのみ)
              server            (非内部サービスのみ)
              wait
              protocol          (RPCリストにない(UNLISTED)サービスのみ)
              rpc_version       (RPC サービスのみ)
              rpc_number        (リストにない RPC サービスのみ)
              port              (リストにない非 RPC サービスのみ)

       以下の属性はすべての代入演算子をサポートする:

              only_from
              no_access
              log_on_success
              log_on_failure
              passenv
              env               ('-=' 演算子はサポートしない)

       これらの属性は一つのサービスエントリで複数回あらわれてもよい。   残りの属性は   '='  演算子のみをサポート
       し、一つのサービスエントリで一回以下しか現れない。

       また、設定ファイルは以下の形式のデフォルトエントリを一つ持つ。

              defaults
              {
                     <属性> = <値> <値> ...
                     ...
              }

       このエントリは、そのサービスで属性値が指定されなかった場合の、 デフォルトの属性値を決定する。指定可能なデ
       フォルトの属性は:

              log_type
              bind
              per_source
              umask
              log_on_success    (積算効果)
              log_on_failure    (積算効果)
              only_from         (積算効果)
              no_access         (積算効果)
              passenv           (積算効果)
              instances
              disabled          (積算効果)
              enabled           (積算効果)

       積算効果を持つ属性は、複数回指定することができ、その度に積み上げられる (すなわち '=' は '+=' と同じことを
       する)。 disabled の例外を除いて、サービスエントリで指定された場合と同じ意味を持つ。 disabled は、設定ファ
       イルにエントリがあるものでさえも使用不可にする。 これにより、コメントアウトする代わりに、 disabled 属性を
       使って使用不可にするサービスを、素早く再設定できる。 この属性の値は、スペースで区切られた、サービス id の
       リストである。 enabled は disabled と同じ特性を持つ。違いは enabled  は使用可能にするサービスのリストであ
       るということだ。もし  enabled が指定された場合、指定されたサービスだけが使用可能になる。 enabled が指定さ
       れなかった場合は、すべてのサービスが使用可能と仮定され、 disabled にリストされたものが除外される。

内部サービス

       xinetd は以下のサービスを内部的に提供する (ストリーム型、データグラム型の両方とも): echo, time,  daytime,
       chargen,  discard である。 xinetd が他のプロセスへと fork する必要がないということを除けば、 これらのサー
       ビスは、他のサービスと同様にアクセス制限の下にある。 これら  (time,  daytime  と、データグラム型の  echo,
       chargen, discard) は instances の数に制限がない。

       xinetd  はまた、二つの UNLISTED なストリーム型内部サービスを提供する: serversservices である。 前者は
       実行しているサーバの情報を表示し、 一方後者は現在有効なサービスのリストを提供する。  一行に一つのサービス
       で、 各行はサービス名・プロトコル(例えば "tcp")・ポート番号からなる。

       今や管理インタフェースがあり、それは内部サービスである。 サービス名 "xadmin" は予約されており、それは常に
       内部サービスである。  このサービスにはポート番号を指定しなければならず、 多分 IP ベースのアクセス制御もし
       なければならないだろう。  なぜならば、これを執筆している時点では、   パスワード保護を何も持たないからであ
       る。 このポートに telnet し、xinetd にいくらかの問い合わせをすることができる。

TCPMUX サービス

       xinetd  は RFC 1078 に準拠した TCPMUX サービスをサポートする。 サービスがそれに対応する well-known ポート
       を持たなくても、 well-known ポートである TCPMUX を通じてアクセスができる。

       TCPMUX を通じてアクセスされるサービスは、それぞれ /etc/xinetd.conf にサービスエントリーを持つか、もしくは
       includedir ディレクトリの設定ファイルにサービスエントリがなければならない。

       service_name フィールド(各 xinetd の設定ファイルで、サービスの最初で定義される)は xinetd に(RFC 1078 プロ
       トコルによって)渡される文字列に等しくなければならない。 それはリモートのサービス要求者が最初に well-known
       ポートである TCPMUX に アクセスしたときに渡される。  プライベートなプロトコルは高い確率で一意になるサービ
       ス名を使うべきだ。 ひとつの方法は、ドメイン名の前にサービス名を付加することである、

       type フィールドは TCPMUX または TCPMUXPLUS のどちらかである。 TCPMUXPLUS が指定された場合、 xinetd はサー
       ビスを初期化する前にプロセス呼び出して、  (RFC 1078 で定義される)プロトコルの最初のハンドシェイクを処理す
       る。 type が TCPMUX の場合は、ハンドシェークを遂行するために開始されているサーバが対処する。

       サービスが標準的なシステムファイル (RPC サービスなら、 /etc/rpc, RPCサービスでないなら  /etc/services  な
       ど) に無い場合は、 type には UNLISTED も指定する。

       これらのサービスに対する  socket_typestream でなければならず、また protocaltcp でなければならな
       い。

       以下は TCPMUX サービス設定のサンプルである。

              service myorg_server
              {
                     disable             = no
                     type                = TCPMUX
                     socket_type         = stream
                     protocol            = tcp
                     wait                = no
                     user                = root
                     server              = /usr/etc/my_server_exec
              }

       well-known ポートの TCPMUX を通じてアクセスされる各サービスの サービスエントリの他に、TCPMUX 自身のサービ
       スエントリも xinetd の設定の中に含まれなければならない。 以下のサンプルを見よ:

              service tcpmux
              {
                     type                = INTERNAL
                     id                  = tcpmux
                     socket_type         = stream
                     protocol            = tcp
                     user                = root
                     wait                = no
              }

注意

       1.  以下のサービス属性は、再設定で変更することができない: socket_type, wait, protocol, type である。

       2.  属性 only_fromno_access が(直接、defaultsのどちらでも)指定されなかったサービスは、 アドレスの照合
           は成功したものとして扱われる (すなわち、アクセスは拒否されない)。

       3.  アドレス照合はリモートホストの IP アドレスとを基にしており、 ドメインアドレスには依らない。  長い時間
           がかかるリモートホストの名前検索を避けられるので、そうなっている  (なぜならば、 xinetd は単一スレッド
           であり、 名前検索はデーモンがその検索を終えるまで、 他の全ての要求を受け付けるのを妨げるからである)。
           この枠組の悪い面は、リモートホストの IP アドレスが変わってしまうと xinetd  を再設定するまでは、アクセ
           スが拒否されてしまうことである。  アクセスが実際に供されるかどうかは、 新たな IP アドレスが許可された
           アクセスにあるかどうかによる。 例えば、ホストの  IP  アドレスが  1.2.3.4  から  1.2.3.5  に変更され、
           only_from が 1.2.3.0 と指定されていれば、アクセスは拒否されない。

       4.  ログオプション  USERID  が指定され、もしリモートホストが  ident  サーバを動かしてないか、または ident
           サーバが壊れた返事を送り返してきたら、 サービスフラグ  IDONLY  が使われない限り、アクセスは拒否されな
           い。

       5.  プロセスをフォークし、  それがリモートホストとローカルサーバの間でフィルタとして振舞うことにより、 横
           取りが機能する。 これは明らかに性能に影響を及ぼすので、  各サービスごとのセキュリティと性能との間の妥
           協は、あなたに任されている。  以下の表は横取りのオーバーヘッドを示す。 最初の表は様々なデータグラムサ
           イズでの、UDP ベースのサービスにおけるデータグラムあたりのオーバーヘッドである。 TCP ベースのサービス
           については、横取りによるバンド幅の減少を計測した。 計測の間は、ある量のデータをクライアントからサーバ
           へ送った (時間のオーバーヘッドは  UDP  ベースのサービスと同じはずだが、  連続するデータ転送の最初のパ
           ケットだけにかかる)。 データ量は表の システムコール数xシステムコールあたりのデータ量 から得られる。す
           なわち、各  send(2) システムコールはそれほど多くのデータを転送した。 バンド幅の減少は、秒あたりのバイ
           ト数と、   横取りが行われなかった場合からの割合で与えられる。   全ての計測は   SunOS    4.1    が走る
           SparcStation IPC で行われた。

                  データグラムサイズ(バイト)  遅延(ミリ秒)
                  --------------------------  ------------
                  64                          1.19
                  256                         1.51
                  1024                        1.51
                  4096                        3.58

                  送信バイト                  バンド幅減少
                  ----------                  ------------
                  10000x64                    941 (1.2%)
                  10000x256                   4,231 (1.8%)
                  10000x1024                  319,300 (39.5%)
                  10000x4096                  824,461 (62.1%)

              #
              # xinetd のサンプル設定ファイル
              #

              defaults
              {
                     log_type            = FILE /var/log/servicelog
                     log_on_success      = PID
                     log_on_failure      = HOST RECORD
                     only_from           = 128.138.193.0 128.138.204.0
                     only_from           = 128.138.252.1
                     instances           = 10
                     disabled            = rstatd
              }

              #
              # 注意 1: protocol 属性は必要ない
              # 注意 2: instances 属性はデフォルト値を上書き
              #
              service login
              {
                     socket_type         = stream
                     protocol            = tcp
                     wait                = no
                     user                = root
                     server              = /usr/etc/in.rlogind
                     instances           = UNLIMITED
              }

              #
              # 注意 1: instances 属性はデフォルト値を上書き
              # 注意 2: log_on_success フラグは引き数
              #
              service shell
              {
                     socket_type         = stream
                     wait                = no
                     user                = root
                     instances           = UNLIMITED
                     server              = /usr/etc/in.rshd
                     log_on_success      += HOST RECORD
              }

              service ftp
              {
                     socket_type         = stream
                     wait                = no
                     nice                = 10
                     user                = root
                     server              = /usr/etc/in.ftpd
                     server_args         = -l
                     instances           = 4
                     log_on_success      += DURATION HOST USERID
                     access_times        = 2:00-9:00 12:00-24:00
              }

              # telnet セッションを、8 メガバイトのメモリーと子プロセスを
              # 合計 20 CPU 秒に制限
              service telnet
              {
                     socket_type         = stream
                     wait                = no
                     nice                = 10
                     user                = root
                     server              = /usr/etc/in.telnetd
                     rlimit_as           = 8M
                     rlimit_cpu          = 20
              }

              #
              # このエントリとその次は、内部サービスを指定する。
              # 違うソケットタイプの同じサービスなので、
              # 各エントリを唯一に識別するために id 属性を用いる
              #
              service echo
              {
                     id                  = echo-stream
                     type                = INTERNAL
                     socket_type         = stream
                     user                = root
                     wait                = no
              }

              service echo
              {
                     id                  = echo-dgram
                     type                = INTERNAL
                     socket_type         = dgram
                     user                = root
                     wait                = no
              }

              service servers
              {
                     type                = INTERNAL UNLISTED
                     protocol            = tcp
                     port                = 9099
                     socket_type         = stream
                     wait                = no
              }

              #
              # RPC サービスのサンプル
              #
              service rstatd
              {
                     type                = RPC
                     socket_type         = dgram
                     protocol            = udp
                     server              = /usr/etc/rpc.rstatd
                     wait                = yes
                     user                = root
                     rpc_version         = 2-4
                     env                 = LD_LIBRARY_PATH=/etc/securelib
              }

              #
              # リストにないサービスのサンプル
              #
              service unlisted
              {
                     type                = UNLISTED
                     socket_type         = stream
                     protocol            = tcp
                     wait                = no
                     server              = /home/user/some_server
                     port                = 20020
              }

関連項目

       xinetd(1),

       xinetd.log(5)

       Postel J., Echo Protocol, RFC 862, May 1983

       Postel J., Discard Protocol, RFC 863, May 1983

       Postel J., Character Generator Protocol, RFC 864, May 1983

       Postel J., Daytime Protocol, RFC 867, May 1983

       Postel J., Harrenstien K., Time Protocol, RFC 868, May 1983

       M. Lottor, TCP Port Service Multiplexer (TCPMUX), RFC 1078, Nov 1988

       StJohns M.,  Identification Protocol, RFC 1413, February 1993

バグ

       INTERCEPT フラグが使われなかった場合、 waityessocket_typestream のときは、 リモートホストアド
       レスのアクセス制御は行われない。

       INTERCEPT  フラグが使われなかった場合、 waityessocket_typedgram のサービスの リモートホストア
       ドレスによるアクセス制御は、最初のパケットにのみ行われる。 アクセス制御リストにないホストからのパケットを
       サーバは受け付けてしまう。 これは RPC サービスの場合に起きる。

       環境変数に 空白 を入れる方法がない。

       waityessocket_typestream のとき、 接続が受け付けられた場合のみ、ソケットがサーバへ渡される。

       INTERCEPT フラグは、内部サービスとマルチスレッドサービスではサポートされない。

                                                  14 June 2001                                    XINETD.CONF(5)